Quad盤紙ジャケ工作室

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QUAD盤 紙ジャケ工作室

工作の時間です。紙と糊とハサミと定規とパソコンとスキャナとカラーレーザー・プリンタの用意はいいですかー?

 工作は楽しいものです。もうかれこれ紙ジャケを自分で作り出して5年ではきかないでしょう。大抵の場合は友人がこっそりアメリカのライブハウスで隠し録りした音源とか、昔のFMのエアチェック音源をCD化した時に、せっかくならプラケースじゃなくて紙ジャケにしようということで始めたのがきっかけでした。だって世の中にないものを作る方が楽しいですからね。今じゃ猫も杓子も紙ジャケでリマスターCDを発売する時代です。売っているものを作る必要はありません。とはいうものの、売っているものがじゃあ満足いくのかというと、それがそうとも行きません。

 Fillmoreに関してだって、大枚はたいて色々と紙ジャケを買い集めましたが、鳴り物入りの割にはあんまり良い出来のものはありません。ということで、世の中に無いなら作ろうシリーズとなりました。とはいっても、今回のQuad版Fillmoreは本当に世の中に存在しないものです。作りがいもあるというものです。また作って分かることもあります。
 実は今回もその過程で個人的に大きな発見がありましたが、一般の人(どんな人だ?)には関係ないのでここでは触れません。そんなわけで、それでは紙ジャケ工作室の始まりです。

1・最初はひたすらスキャンです

IMG_2319.JPG LPジャケットのスキャンは一番の悩みがそのサイズです。A4サイズのスキャナーしかない時は本当に合成に手間がかかりましたので、5年ほど前にA3ノビのフラットベッド・スキャナーを思い切って購入しました。だからといって上の写真の通りきっちりジャケットサイズが読み取れるわけもなく、合成の苦労は相変わらず続いています。もともと粗い画質のジャケットですから150dpiの読み込みでも十分すぎます。どうせ13cm四方のサイズになるのですから。

2・Illustraterが紙ジャケ製作には欠かせません

IMG_2320.JPG 取り込んだ写真はPhotoshopという写真合成・加工用ソフトでそれらしくしたところで、今度はIllustaterというソフトに持ち込みます。この辺りは詳しく書き出すときりがないので、軽く読み飛ばして下さい。ディスプレイには展開図にはめ込まれたジャケットの様子がうかがえますね。
 どのぐらいのノドにするかとか、のりしろをどうするかとかは、色々作ってきた最適値でやっています。でも、それは内緒だよ(笑)。

3・印刷の雰囲気はカラーレーザーが一番です

IMG_2322.JPG  紙の厚さは後々の加工のしやすさもあって、ハガキの厚さのものにしています。ケント紙だとちょっと厚いかなあ。それをカラーレーザープリンタで印刷しています。とはいえこの印刷品位はトナーの定着方式に左右されるので、一概にカラーレーザーなら何でも良いというわけではないです。僕の好みはエプソンです。昔ながらのつやのある定着方式が紙ジャケには最適です。

4・老眼には辛い作業の切り出しです

IMG_2326.JPG 印刷まではパソコンの力をフルに使いますが、工作の要は切り出しと貼付けです。50も近づくと寄る年波で細かな手作業がきついですが、これも世の中に二つとない紙ジャケ製作と心に言い聞かせ、一心不乱に切り出します。こはひたすら根気と集中力です。というのも、定着したトナーのオイル分で定規が滑りやすく、気を抜くと曲がって切ってしまうからです。 

5・ここがヤマ場の折り作業です

IMG_2328.JPG のりしろとかノドの部分にペーパーナイフで折り線をあらかじめケガイておくと、きれいに仕上がりますよ。ただし折り目の谷側(つまり折ったら内側になる部分)からじゃないと、折った後で印刷面が割れてきますから注意しましょう。
 ところでジャケット内側のノドの部分ですが、谷-山-谷にすれば簡単にできます。何のことか分からないって? 「W」の様になれば良いのです。

6・一山越しても最大のヤマ場、貼付け作業が待っています

IMG_2329.JPG ここでどれだけ失敗したことでしょう? 切り出しもうまく行き、折りもバッチリ、だけどジャケット内側と外側との張り合わせでは、今まで何度も悲しい失敗を繰り返しました。例えば天地を逆さまに貼付けたり、貼り合わせがずれたり。もう今はそんなことしないけどね。接着には両面テープが良いみたいです。ただ貼り合わせには一工夫が必要。えっ? 教えろって? これこそノウハウなので自分で体得しましょう。

7・とりあえずできました! Quad盤紙ジャケです。簡単そうで難しいです

IMG_2331.JPG 内側から見たところ。微妙に膨らんでいるように見えますが、これはCDを収納した時に入りやすくするために、ほんの少しだけ寸法を見てあります。コンマ何ミリといった感じですが、現物を組みながら手作業で調整します。この辺はもう勘と経験ですかね。

IMG_2332.JPG 表側から見たところ。まあこんなところかなあ。急いでやった割にはまずまずでしょう。不満点はスキャンした画像の色合いの調整を簡単にしたものだから、Quad盤というよりもピンク盤のジャケットっぽくなってしまったところでしょうか。

8・続いてCDのラベル面です

IMG_2324.JPG ジャケット同様にスキャナで取り込みます。取り込みよりも後の色合いの調整の方が面倒ですね。プリンタの出力の具合とも兼ね合いがあるので、どのぐらいにすれば良いか悩むところです。ま、今回は作るのが目的なので、再現性はとりあえず二の次で進めます。 

9・ラベル印刷が簡単にできる時代となりました

IMG_2335.JPG 以前はシール式のラベルを用意して、CDのラベル面に手貼りしていましたが、今じゃインクジェットプリンタで簡単に出力できますからラクチンです。こんなすごい機能がついて1万円とちょっと買えてしまうなんて…。インクは高いですが(笑)。

10・とりあえず完成! 

IMG_2337.JPG 音源の話を忘れていました。これも詳しく説明すると時間がかかるので、おおまかに解説しますね。アナログプレーヤーで再生させながら、オーディオ用のハードディスクレコードに取り込んでCDに焼き、まずマスター音源を作ります。これをパソコンに読み込んで大きなノイズだけ波形ソフトで修正します。あくまでも大きなノイズだけにします。やりすぎるともとのエネルギーが失われてしまいます。これで良いというのはないので、気に入らなければやり直すだけです。

11・ジャケットの内側をチェック

IMG_2341.JPG ジャケットの内側の部分をオリジナルと並べてみました。色合いはまあまあかな? 文字の潰れはご愛嬌です。市販の紙ジャケは視認性を重視して、文字を大きくして打ち直しをしたりしますが、今回の紙ジャケ製作はそんなことは気にせず、単純にダウンサイジングしたのみです。どうせこのサイズだと、文字を打ち直したってプリントで潰れるのが落ちですしね。それより以前に自分自身が老眼で読めません。トホホのホ。

12・ジャケットの外側もチェックしましょう

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 比べるとやっぱり歴然とするのが色合いですね。もっと紙の灼けたような感じと、オリジナルとは違う微妙な黒色を出すつもりだったのですが…。どちらかというと新品のような感じになってしまいました。ピンク盤ならこれで良いんだけども。まあ、また時間を見て作り直しましょう。趣味の良いところは、気に入らなければ何度でもやり直せるところです。

 思うに、今までたくさんの紙ジャケが市場に出ていますが、強度面のこともあってみんな分厚いのですよね。というか分厚すぎる。あれでは紙ジャケではあっても、本来のジャケットの雰囲気が損なわれているような気がします。特に背の部分が厚くなってしまうんですよね。だから本来のジャケットの感じが出ないんです。僕が作るゲートフォールド(2枚組)の厚さはできるだけ本来の比率を保って作るのですが、比較すると市販品のシングルジャケットと厚さが同じです。それだけ市販のものは厚いということです。まあ、そんなことを気にする人はあまりいないかもしれませんが。

 というわけで、自分としては75点のできでした。まあまあかな?

さあ、皆さんも自分で紙ジャケ作ってみましょう! って誰が作るかそんなものねえ(笑)