P-5016/17

jackets.jpg

日本国内・2nd盤について紹介しましょう

ビクター音楽産業 SJET 9596〜7 (1975) 日本国内もキャプリコーン・レコードとなりました

ジャケット写真のテイク違い満載の国内2nd

SJET-9565〜6ジャケ.jpg▲ディッキー足下のAtlanticのロゴマークは消え右上に山羊マークが

SJET-9565〜6裏ジャケ.jpg▲裏ジャケットの定価表示は無くなりました

 アメリカ本国ではCAPRICORNレーベルは1972年以降にATLANTICからWARNER BROTHERS 傘下に移行し、1974年の再発以降はジャケットや盤面のレーベルに表示されるトレードマークも、CAPRICORN(山羊座)の象徴となる山羊座のイラストになったフィルモアですが、いつから国内では山羊マークになったかというと、1975年7月以降にビクター音楽産業からキャプリコーン・レコードとして登場して以後のことでした。

 ところで国内再販盤の最大の特徴は、帯にもある通り「カラー・ポスター付」と言う点に極まります。ただしこのカラー・ポスターというのは、後年に発売された『The Fillmore Conserts』のジャケットの様な本当のカラー写真という意味ではなく、単に文字だけに色が使われているだけというようなものでした。ただし、写真そのものは時代的に我々が最初に目にしたオフィシャルの別テイクとも言うべきものでした。実は帯の写真も別テイクだったというおまけ付きです。

1・ジャケット写真のトリミングサイズ


 P-5016/7と同様にオリジナルとトリミングの違いがあるか比較してみましょう。赤枠で囲った分が国内盤です。

トリミングサイズ表.jpgトリミングサイズ裏.jpg

 P-5016/7と比較すると、表裏とも上部にトリミングし、下部が削られています。それと写真の黒つぶれが解消されていますが、それでもオリジナルと比較すると黒っぽいですね。

2・レーベルのロゴマーク


SJET-9565〜6山羊ロゴ.jpg ディッキーの足下、ピンク盤なら「CAPRICORN」、
国内初盤ならATLANTICのブラック・ファンのロゴマークがある部分には何も無くなり、ジャケット右上肩の部分にキャプリコーンを象徴する山羊さんのマークがあります。
SJET-9565〜6_2nd帯.jpg  またディッキーの足下はどんな風になっているのかというと、どうやら手作業でロゴが消され、地面の荒れた砂の様子を手描きで書き足されています。昨今のフォトレタッチ・ソフトを使えば簡単なことも、当時は面倒だったことが忍ばれます。そしてこの修正跡はLPの国内最終盤まで残ったのでした。

3・センターレーベル


SJET-9565〜6レーベル.jpg このキャプリコーン・レコード盤よりしばらく国内盤のセンターレーベルはいわゆる「ライト・ゴート」、つまり右を向いた山羊さんですね。これはオリジナルのキャプリコーンでも同様なのですが、なぜかジャケットの山羊さんマークの向きと一致していないのです。
 ということで、いちいち「ライト・ゴート」「レフト・ゴート」と区別をするわけです。
SJET-9565〜6ジャケ.jpg もう一度、上のジャケットのロゴマークを見て下さい。山羊さんが左を向いているでしょう? さらに表ジャケットの帯にもマークが有ります。
 ちなみに国内盤ではジャケットは「レフト・ゴート」、センターレーベルは「ライト・ゴート」に統一されているようですが、米盤ではバラバラです。

4・ジャケットの内側…あれが書いてありません

P-5016のジャケ内側見開き.JPG国内初盤 P-5016〜17A

ISJET-9565〜6内ジャケ見開き.jpg国内2nd盤 SJET-9565〜6

クレジット拡大.jpgSJET-9565〜6クレジット.jpg

 インナー・ジャケットの色合いは、この版以降最終盤まで濃い茶色、あるいは黒になります。写真も朱色がかった感じになっています。
 ジャケット内側・右端の曲目等の解説部分は、ほとんど国内盤初版と同じ内容が記載されています(左側がP-5016/7盤、右側がSJET-9565〜6)。例によって一番のチェックポイントである、"In this two record set Side One is backed with Side Four and Side Two is backed with Side Three." つまり「1面は4面の裏側、2面は3面の裏側になっています」という但し書きの部分ですが、左の図版を比較して頂くと分かる通り、SJET-9565〜6ではすっぽりと空欄になっています。しかもレイアウトそのものは元の通りですから、まさに「削った」という感じです。
 そして実際の盤面は国内発売のLPに関しては、初盤から一貫してレコード1=Side1/Side2 レコード2=Side3/Side4になっています。あえて米盤に倣う必要性を感じなかったのか、それとも元々その趣旨を理解していなかったのか(こちらのページ中央を参照)、ユーザーに混乱を招くような表記はやめようと言うことになったのか、今となってその理由は分かりません。しかしあえてけこの文面を削ったわけですから、この文章の内容よりも曲目順=盤面順を優先したということでしょう。

 もうひとつの相違点はレコード会社の表記を一切削除した点です。これも番面順の表記と同様に、空欄になったままです。

5・付録のポスターです…写真はオフィシャル別テイク


poster.jpg
SJET-9565〜6ジャケ.jpg 帯にもある通り、この盤にはポスターがおまけで付いていました。82.6×51.2mmというなかなか大きなサイズのポスターです。

 ただ上の写真を見て頂いて分かる通り、山羊のロゴマークとバンド名の文字にオレンジ色と緑色が印刷されているだけで、写真そのものはモノクロのままでした。
 さて、帯をよく見るとちゃんとここもポスターの写真が使われています。なかなか手の込んだお仕事をしていますね。

6・帯の別バージョン…写真はちょっと待ってと言いたい(笑)

SJET-9565〜6_2nd帯.jpg  後期のSJET-9565〜6盤の帯です。すてにポスター付きの表記はありませんが、特筆すべきは写真です。1975年以降の発売ですから、すでにデュアンやベリーは鬼籍に入り、新メンバーとしてキーボードにチャック・リーベル、ベースにラマー・ウィリアムスが入っている時期に当たります。だとしても、どうしてその二人が入った時代の写真を使っているのでしょう? 二人に責任はありませんが、その二人の入っていた時代のオールマンは、フィルモアの頃のオールマンとはまったく別物なのですから。

7・日本ならでは、ライナーノートのお話


 ライナーノートの末尾には「1975.5 吉成 伸幸」とあります。吉成氏と言えば数々のビートルズやジョージ・マーティン関連の書籍を出されている方で、1ドル360円時代の1969年5月から1972年の5月頃まで、サンフランシスコ・ステート大学に留学するためにサンフランシスコにいらっしゃったそうです。当時のサンフランシスコの音楽といえば、フィルモア・ウエスト! ビル・グレアムにインタヴューする機会がきっかけで、「フィルモア・ウェスト」のフリーパスをもらい、暇さえあればいろいろなライヴを見た、という何ともうらやましい経験をお持ちの方です。ご本人のエッセイがネットに上がっていました。http://members3.jcom.home.ne.jp/in-cahoots/cah/pll/esse1-1.htm#yn


 その数々の生々しい当時のアメリカの音楽経験を活かされてか、ライナー・ノーツでは本当に見てきたように(笑)ライブ感溢れる筆致で解説を書かれています。当時の『MUSIC LIFE』誌にも数多くのライブ・レポートを書かれたそうですから、自分もリアルタイムに読んでいたかもしれません。
 そして肝心なことですが、国内盤のLPは最後の最後(28MM0535/6 1986年)まで、CDとしてはこれが最後かどうかは確認が取れていませんが、手許にあるものでは1989年2枚組セット(P36P 22033/4)まで吉成さんの文章が一言一句変えずに使用されています。

8・音質評価です


 まあ、ね。国内盤ですし最初が最初ですから順当な感じです(笑)。